~来タレ我軍曹!×4受限定軍曹&4受大臣憩いの場★~
『15のころ』
トロワ(ヒイロ?)×カトル
お子様本の番外編になります。
とりあえずは、
15歳くらいのイメージで描いていたもよう。
父ヒイロの非難が殺到しないことを祈ります(笑)
読んでみて、『悪くなかったぜ』
というお人がおられましたら、
拍手やコメントお待ちしておりますv
それが、次への活力になるのでv
そいでは、「本文を読む」から、どうぞ!
『15のころ』
極普通の会話をしていたはずだった。それが、息子トロワの話になって、カトルの話になって。昔の話になって。そうしているうちに、思い出したように、カトルが騒ぎ出したのだ。
「返してよー、ボクのファーストキス!」
「俺のほうから何かしたような言い方はよせ」
「うるさいなぁ。二歳児の攻撃なんてヒイロなら躱せたはずだよ。返してよ、ボクのキス! キス! キス! キス!」
「わめくな。どうしてもというのなら、『返す』ことはできないが『お返し』ならできる」
そういうとトロワの父は、正座しているカトルのほうにいざり寄り、まるみのまだ残るやわからな頬に手をかけた。そのまま滑らかな動きで、固い指が白い肌の上を白い顎へと滑った。
そのままカトルの顔の動きを押し留め。
「んんー?」
目の前のプルシアンブルーの瞳を見ていたカトルは寄り目になる。
父親の顔がカトルの柔らかなピンクの唇を目指すように。ゆっくりと近付いてくる。その速度に合わせカトルは距離を保とうと、最後は上体を後ろに倒しのけ反った。そのまま、無理な姿勢に堪えかねて、カトルは片手を畳についた。
あと少しで……。
というところで、ふすまが開く音がした。
「あッ! トロワ! お帰りなさーい!」
音に気づいてクキッとそちらを見たカトルが、にっこりと爽やかに微笑む。情事の途中のようなトロワの父との態勢のまま、実に状況と不釣り合いな清い清流のような笑みだった。
しかし、ふすまは開いたときと同じ速度で閉められた。
「へえ?」
カトルは大好きなトロワの姿を一瞬しか眼にできなかった。
「閉めちゃったよ。トロワ閉めちゃった! ヒイロ、ヒイロぉ!」
カトルはのけ反るような姿勢で畳についているのとは逆の手で、父のシャツを襟を掴み振り回す。
父親は無言で眉間にシワを寄せ、なすがままだ。
「ボク、行ってくるー」
襟を引っ張りながら立ち上がると、カトルはトロワの部屋を目指して廊下を駆けて行った。
しばらくして、声を荒げながらカトルが父親を置き去りにした部屋へ戻ってきた。
「開けてくれない! 返事もしてくれない! どうして! どうして? ヒイロ、どうして? トロワどうして出てきてくれないの?」
「……思春期なんだろう」
「何の関係があるの?」
きょとんとしたあと、思い出したようにカトルは叫んだ。
「トロワァーーーーーー!」
大好きな幼なじみのトロワに無視などされては、生きてはいけないという意味の叫びだった。
お泊りする荷物はもうすでに送ってある。いつも一緒の部屋で寝るのが習慣になっていたから、それはトロワの部屋に運ばれていた。
「ヒイロ、パンツぅ」
半ベソをかきながらカトルは言う。
「俺のを穿け」
「パジャマも」
カトルは入浴後の衣類心配をしているのだ。トロワの下着は借りられないが、父のものは平気なカトルだった。カトルは非常にヒイロに無遠慮だった。
ちなみにトロワの父親はカトルに対して無礼講だ。
これで良好な関係でいられる二人だった。
「トロワ、一緒に寝てくれないのかなぁ」
「……」
父は口を噤む。
カトルはトロワに逢いたくて、こうしてトロワの家に泊まりに来られる長期の休みを楽しみにしていた。それなのに、まだ再会のハグだってしていないうちから、トロワはご機嫌斜め。毎回自分より大きくなっていくトロワに抱きつくたびに、その自分の至らない成長の差を恨めしく思い、大好きだと再確認するのに。そんな神聖な儀式を無視されるなんてありえない。
この状況だけを見ると、カトルばかりがトロワにべったりのようだが、トロワは初対面のころから、カトルを一途に想っているのだ。
だとすると、年頃の男の子から見て、好きな子のラブシーンもどき目の当たりにするなんて、ショックもショック。その相手が自分の実の父親なのだから、大混乱であろう。トロワは年齢よりもはるかに落ち着いていて実に賢しい少年で、無味乾燥なほどだった。しかし、カトルが絡むことに関しては、感情は欠落していなかった。唯一、トロワの感情を引き出せるのがカトルという存在だった。
最愛のカトルの呼びかけにも応えず、部屋に籠城したトロワの胸の裡では、吐き気がするほどいろいろなことが、ぐるぐる回っているのだろう。
「ボクのことキライになったのかなぁ……」
ふにゃっと泣き顔と紙一重になるカトルの表情を見て、父はため息を吐く。
「……情けない顔をするな」
大きな手がカトルのきらきら光る白金の髪を乱した。子供の揉め事にはあまり関知したくないのだが、父もまたカトルには少々弱い。
「安心しろ。あいつは莫迦だ」
「ヒイロ、ひどい! トロワ、バカじゃないもの! そんなこと言うなんて、ヒイロのバカーーーー!」
言いながらカトルは駆け出した。もちろんもちろん天岩戸に立て籠る愛しいトロワのもとを目指してだ。
「トロワー! 遊びにきたんだよぉ。一緒にご飯食べよー。ねぇ?」
返る声はない。
「一緒に寝ようよー。ねぇー?」
ガンガン引き戸を叩く音が虚しく響き渡る。
ダメだ。泣き声になってしまう。と、カトルが思っていたら、父がいつの間にか近づき、何事かを耳打ちし、台所のほうに消えてしまった。
そんな呪文でいいの? と、カトルは難しい顔をした後、空気を胸いっぱいに吸い込み大声をはなった。
「トロワー。久しぶりに『一緒にお風呂にはいろう』ーーーーーーっ! ねぇーーーー?」
しばしの静寂。そして、ガタガタと部屋の中から、物音が聞こえてきた。
天岩戸を開く鍵は、やはり、裸だったのだろうか……。
極普通の会話をしていたはずだった。それが、息子トロワの話になって、カトルの話になって。昔の話になって。そうしているうちに、思い出したように、カトルが騒ぎ出したのだ。
「返してよー、ボクのファーストキス!」
「俺のほうから何かしたような言い方はよせ」
「うるさいなぁ。二歳児の攻撃なんてヒイロなら躱せたはずだよ。返してよ、ボクのキス! キス! キス! キス!」
「わめくな。どうしてもというのなら、『返す』ことはできないが『お返し』ならできる」
そういうとトロワの父は、正座しているカトルのほうにいざり寄り、まるみのまだ残るやわからな頬に手をかけた。そのまま滑らかな動きで、固い指が白い肌の上を白い顎へと滑った。
そのままカトルの顔の動きを押し留め。
「んんー?」
目の前のプルシアンブルーの瞳を見ていたカトルは寄り目になる。
父親の顔がカトルの柔らかなピンクの唇を目指すように。ゆっくりと近付いてくる。その速度に合わせカトルは距離を保とうと、最後は上体を後ろに倒しのけ反った。そのまま、無理な姿勢に堪えかねて、カトルは片手を畳についた。
あと少しで……。
というところで、ふすまが開く音がした。
「あッ! トロワ! お帰りなさーい!」
音に気づいてクキッとそちらを見たカトルが、にっこりと爽やかに微笑む。情事の途中のようなトロワの父との態勢のまま、実に状況と不釣り合いな清い清流のような笑みだった。
しかし、ふすまは開いたときと同じ速度で閉められた。
「へえ?」
カトルは大好きなトロワの姿を一瞬しか眼にできなかった。
「閉めちゃったよ。トロワ閉めちゃった! ヒイロ、ヒイロぉ!」
カトルはのけ反るような姿勢で畳についているのとは逆の手で、父のシャツを襟を掴み振り回す。
父親は無言で眉間にシワを寄せ、なすがままだ。
「ボク、行ってくるー」
襟を引っ張りながら立ち上がると、カトルはトロワの部屋を目指して廊下を駆けて行った。
しばらくして、声を荒げながらカトルが父親を置き去りにした部屋へ戻ってきた。
「開けてくれない! 返事もしてくれない! どうして! どうして? ヒイロ、どうして? トロワどうして出てきてくれないの?」
「……思春期なんだろう」
「何の関係があるの?」
きょとんとしたあと、思い出したようにカトルは叫んだ。
「トロワァーーーーーー!」
大好きな幼なじみのトロワに無視などされては、生きてはいけないという意味の叫びだった。
お泊りする荷物はもうすでに送ってある。いつも一緒の部屋で寝るのが習慣になっていたから、それはトロワの部屋に運ばれていた。
「ヒイロ、パンツぅ」
半ベソをかきながらカトルは言う。
「俺のを穿け」
「パジャマも」
カトルは入浴後の衣類心配をしているのだ。トロワの下着は借りられないが、父のものは平気なカトルだった。カトルは非常にヒイロに無遠慮だった。
ちなみにトロワの父親はカトルに対して無礼講だ。
これで良好な関係でいられる二人だった。
「トロワ、一緒に寝てくれないのかなぁ」
「……」
父は口を噤む。
カトルはトロワに逢いたくて、こうしてトロワの家に泊まりに来られる長期の休みを楽しみにしていた。それなのに、まだ再会のハグだってしていないうちから、トロワはご機嫌斜め。毎回自分より大きくなっていくトロワに抱きつくたびに、その自分の至らない成長の差を恨めしく思い、大好きだと再確認するのに。そんな神聖な儀式を無視されるなんてありえない。
この状況だけを見ると、カトルばかりがトロワにべったりのようだが、トロワは初対面のころから、カトルを一途に想っているのだ。
だとすると、年頃の男の子から見て、好きな子のラブシーンもどき目の当たりにするなんて、ショックもショック。その相手が自分の実の父親なのだから、大混乱であろう。トロワは年齢よりもはるかに落ち着いていて実に賢しい少年で、無味乾燥なほどだった。しかし、カトルが絡むことに関しては、感情は欠落していなかった。唯一、トロワの感情を引き出せるのがカトルという存在だった。
最愛のカトルの呼びかけにも応えず、部屋に籠城したトロワの胸の裡では、吐き気がするほどいろいろなことが、ぐるぐる回っているのだろう。
「ボクのことキライになったのかなぁ……」
ふにゃっと泣き顔と紙一重になるカトルの表情を見て、父はため息を吐く。
「……情けない顔をするな」
大きな手がカトルのきらきら光る白金の髪を乱した。子供の揉め事にはあまり関知したくないのだが、父もまたカトルには少々弱い。
「安心しろ。あいつは莫迦だ」
「ヒイロ、ひどい! トロワ、バカじゃないもの! そんなこと言うなんて、ヒイロのバカーーーー!」
言いながらカトルは駆け出した。もちろんもちろん天岩戸に立て籠る愛しいトロワのもとを目指してだ。
「トロワー! 遊びにきたんだよぉ。一緒にご飯食べよー。ねぇ?」
返る声はない。
「一緒に寝ようよー。ねぇー?」
ガンガン引き戸を叩く音が虚しく響き渡る。
ダメだ。泣き声になってしまう。と、カトルが思っていたら、父がいつの間にか近づき、何事かを耳打ちし、台所のほうに消えてしまった。
そんな呪文でいいの? と、カトルは難しい顔をした後、空気を胸いっぱいに吸い込み大声をはなった。
「トロワー。久しぶりに『一緒にお風呂にはいろう』ーーーーーーっ! ねぇーーーー?」
しばしの静寂。そして、ガタガタと部屋の中から、物音が聞こえてきた。
天岩戸を開く鍵は、やはり、裸だったのだろうか……。
2008年5月11日発行
『君の棲む場所』の
【15のころ】に、
加筆訂正したものです
※今後まだ加筆訂正をするかもしれません
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HN:
たみらむゆき軍曹&碧軍曹
性別:
非公開
職業:
カトル受専門の夢想家(野望)
趣味:
カトルいじり・カトル受妄想
自己紹介:
むゆきと碧
2人のカトル受限定軍曹が
同志を募って
集って憩ってしまう場を
つくろうと
もくろんだしだいであります。
小説や絵を
UPするのであります。
日記は書く気なし!
(そして、
まともなプロフィールを
語る気もなし。。笑)
軍曹はカトル・ダーリンズ
だいちゅきトークが
したいだけでありますから!
「我軍曹ッ!」
の名乗り随時募集中v
いつか、軍曹の集いを
したいものでありまっす★
しかして、
「なぜ軍曹?;」と、
大半の方に思われてるだろう。。
カトル受最前線で戦い続けるため
出世しすぎて
外野にはいかないからの
万年軍曹であります!
ちなみに最近急に
自分のことを、
「4受大臣」とも名乗るように。
「4受大臣補佐官」など(笑)
こ、これは進化なのか!?(笑)
我が魂、
カトル受とともにあり★(ビシッ!)
2人のカトル受限定軍曹が
同志を募って
集って憩ってしまう場を
つくろうと
もくろんだしだいであります。
小説や絵を
UPするのであります。
日記は書く気なし!
(そして、
まともなプロフィールを
語る気もなし。。笑)
軍曹はカトル・ダーリンズ
だいちゅきトークが
したいだけでありますから!
「我軍曹ッ!」
の名乗り随時募集中v
いつか、軍曹の集いを
したいものでありまっす★
しかして、
「なぜ軍曹?;」と、
大半の方に思われてるだろう。。
カトル受最前線で戦い続けるため
出世しすぎて
外野にはいかないからの
万年軍曹であります!
ちなみに最近急に
自分のことを、
「4受大臣」とも名乗るように。
「4受大臣補佐官」など(笑)
こ、これは進化なのか!?(笑)
我が魂、
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