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~来タレ我軍曹!×4受限定軍曹&4受大臣憩いの場★~    
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――花〈はなび〉火――
トロワ×カトル

短くて大変ベタな小説です。
ひねりはありません。

こんなストレートなお話でもお許し戴ければ幸いなのですが。
こんなベタベタなお話を書きたいときがあったんでだろうかなぁ。
暑い日を思っていたのか。
(本の発効日は5月になっているのですが。。)

こっぱずかしいので、更新して逃げるように去るのでした。。

(後日、訂正するかもしれませんが、
とりあえず、載せるの嫌になりそうなので、まずは載せちゃいます;;)

お嫌いじゃなければ、拍手やコメントをいただけると
とても、とても、嬉しいですvv
不安なお話をアップしたときほど、その思いは強いのでした!

では、本文を読むからどうぞーv



――花〈はなび〉火――


 夏と言えば暑さばかりが思い浮かぶが、四季を通してみてもイベントの多い季節であろう。カトルは以前ヒイロと訪れた場所が、花火の見える穴場だということを、なにげに口にしたヒイロから聞いていた。カトルはまだ、生で花火を見たことがない。一度見てみたいのであるが、そういう場所は人が多く、警護がどうのと難しい話になってしまうのである。なんならマグアナック隊の皆四十人に囲まれて花火を見に行ったっていいと思うカトルであるが……。でも、今回は穴場である。そんな人の心配はいらないわけで、カトルは単独行動でそこに行ってみる気になっていた。でも、一人で見る花火より、一緒に見てくれる人が居たほうが楽しいのではないかとカトルは考えていた。誘いたい人はいる。たった一人。その相手はトロワだった。
 戦争を終えて幾年月を超えた二人はゆっくりとしたスピードながら、着実に思いを通わせて、恋人同士という仲になっていた。それはまだ、プラトニックなもので、手を握ることすらまともにはできない。それどころか、カトルはトロワの魅惑的な翠の瞳を、正面から見つめることが照れ臭くてできないでいる。意味深い瞳を見つめていると、自分の奥の奥まで、すべてを晒されているようで……。トロワはどうなのだろうか。いつもカトルは自分のほうが多くトロワを好きだと思っているが、トロワはたまに逆のことを口にする。他人からすればどっちもどっちになるだけに違いないと気づかないのは、当の本人たちばかりだ。
 まだ日は浅いがトロワはプリベンダーに籍を置くようになっていた。上手く休暇とぶつかってはくれないものだろうかと危惧しながら、カトルは思い切って花火大会にトロワを誘ってみた。
「その日は非番じゃないな」
 と、カトルの想い虚しくトロワの返事はそういうものだった。目に見えてしゅんと元気をなくしたカトルは、まるで捨てられて仔犬みたいだった。頼りなさげで、そうして大きな瞳だけで、寂しさや不安を訴えかけてくる。
「そうか、じゃあしかたいないよね」
 表情を改め、にっこりとトロワに笑いかけながら、カトルは「ね」と、いうふうに小首を傾げる。そんなカトルの姿に憐憫の情にかられたわけではないのだろうが、トロワが言葉をつけたした。
「だが、夕方からなら何の支障もないんだが」
 カトルの瞳が目に見えて輝いた。
「えっ! じゃあ、一緒に行ってくれるの?」
「ああ。カトルが心変わりして断ってこない限りわな」
「そんなことない! あるわけないじゃないか!!」
 満面の笑顔は興奮で紅潮している。今、へにゃっとなっていたはずのカトルが全身で喜びを伝えてくる。本当の仔犬なら、しっぽは振り切れているだろう。
 それを見守るトロワはというと、間違い探しのいじわる問題の如く、微かに、ほんの微かに瞳を細めただけだ。さて、このカトルの喜怒哀楽を見たかったから、すぐに夕方からの空きをトロワがわざと言わなかったとすると、鬼かもしれない。それはトロワの胸の中。彼だけが知ることである。


   * * *
 もう、暗くなってから空を見上げた。空は澄んでいる。雲の隙間から穏やかな光を零す月が見えた。
「トロワ、こっちだよ」
 カトルは暗いところへ、暗いところへと入っていく。最終的には神社の境内までトロワは案内されてしまった。
 トロワは思った。自分を誘ってくれたことに安堵を覚える。自分が本当に自由の身じゃなければ、一人でこんな場所にカトルは来るつもりでいたのだろうから。トロワは知らずに小さくため息を落としていた。奔放で一般常識において無知なところがある恋人を持つと気の休まる日はありそうにない。まあ、トロワはそんなカトルも好きなのであるが。
「方角はたぶん、あっち!」
 カトルは木々の上を指差す。
「すごく楽しみ。きっと綺麗なんだろうなぁ」
「ああ」
「トロワは、トロワは花火を見たことはある?」
「大規模なものはないな」
 こうして二人きりで逢うのも久しぶりのことだった。カトルはもうそれだけで満たされた気分だ。トロワの返事にカトルは目を輝かせている。大きな碧い瞳は零れ落ちそう。それから忙しなく、きょろきょろと周りを見た。
「それにしても本当に穴場なんだね。僕たち以外誰もいないや。……まさか、間違いってことはないよね。ヒイロが言っていたんだもの」
「あいつの情報が信憑性に欠けるとは思えないが」
「そうだよねぇ。時間が早いのかな。トロワ、あっち見て。そう、そっちのほう。あの木の上のあたりだよ、花火が見えるのは」
 話しかけながらカトルは適当な木を見つけて、もたれかかる。
「忙しいのに、付き合ってくれて、ありがとう」
「いや、礼を言われることはしていない。俺自身が、カトルと二人きりで逢いたかっただけだ」
「え!?」
 弾かれたように微かに上向くと、カトルはトロワの顔を見た。ぽかんと口を開けている。カトルはトロワと恋人同士だという認識をしているのだろうか。そんな初心な反応だった。
「……トロワ」
 見つめたトロワの顔は、いつもと同じ無表情だ。憎らしいくらいに魅惑的。初めて『好きだ』と言ってくれたのは、いつだっただろうか。
 トロワの言葉が嬉しくて、びっくりしながら、顔が真っ赤にゆだったのがカトル本人にもわかった。そのときの状況と同じように。今が夜でよかったと思う。こんな顔をまともに見られるのは恥ずかしすぎるから。
 カトルは少し俯いて、気恥ずかしげにトロワに向けて、
「ありがとう」
 と、小声で言った。
 喜びが零れたように「へへへ」と照れ隠しで笑ったカトルは、夜空を見た。
 そのカトルの視界が遮られた。
 それは彼の仕業で。
「トロワ?」
 長身の彼を見上げると同時に、唇がそっと重ねられた。
 花火の上がる高く細い音がした。大きな音とともに開く花火をカトルは彼の肩越しに見ることもできない。
(――――あっ、花火……)
「カトル」
 優しい声が鼓膜をくすぐる。そして、心を躰を揺さぶる。
「……トロワ」
 初めての口吻けに小刻みに震えるカトルの声は、やはり、体同様震えていて、トロワに労わりの気持ちを植えつける。壊してはいけない人だと。
 カトルは初めてトロワの唇の感触を、その身で感じた。気づかないうちにカトルはトロワのシャツを握りしめていた。
 続く音に無数の花火の輪が重なってゆく。
 薄闇の中の行為。目を閉じ、それでもカトルは無意識で少しだけ背伸びをしていた。
 どんな美しい花火より、トロワのキスはカトルの胸をときめかせたから。
 高鳴る心臓が潰れそうに痛い。緊張と歓喜で震える身体を抑制することもできなくて、鳴りそうになる歯。震えるピンクの唇。
「カトル、好きだ――――」
 初めてそうトロワが口にしてくれたときのこととシンクロして、胸がキュンとうずく。今も涙が零れそうになる。
 どこまでもクールで、どこまでも優しいトロワ。
「……トロワ……大好き、だよ」
 彼の胸に頬をすり寄せ、カトルも呟いた。どんな小声でも届く。それはたとえ音にしなくとも、振動として直接身体に響いてくる。音ばかりでなく、想いも。
 気づかぬままに二人の花火鑑賞は特別なものとなっていた。
 トロワはゆっくりと進めればいいと思っている。カトルのその、自分のものよりも小さな手を、離さなければいいのだ。何に触れるよりも繊細に優しく。そして強く。
 今こうして握られた二人の手から伝わる想い。遠く離れた場所にいても、その込められた思慕は、まるで損なわれることなどないのであるから。
 ぎゅっと抱きしめあった二人の鼓動が同調している。
「……トロワ、花火を、見なきゃ」
 照れ隠しなのか、トロワのすがりついたままのカトルは、小さな声でそんなことを言う。花火と触れ合うだけの可愛いキスは、二人にはどちらが大切なものだろうか。カトルはトロワにしがみついた手の力を抜くことができなかった。
■FIN■
2005年5月3日発行の『Cun Cun』から
少々の訂正をしました

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たみらむゆき軍曹&碧軍曹
性別:
非公開
職業:
カトル受専門の夢想家(野望)
趣味:
カトルいじり・カトル受妄想
自己紹介:
むゆきと碧
2人のカトル受限定軍曹が
同志を募って
集って憩ってしまう場を
つくろうと
もくろんだしだいであります。

小説や絵を
UPするのであります。
日記は書く気なし!
(そして、
まともなプロフィールを
語る気もなし。。笑)
軍曹はカトル・ダーリンズ
だいちゅきトークが
したいだけでありますから!

「我軍曹ッ!」
の名乗り随時募集中v
いつか、軍曹の集いを
したいものでありまっす★

しかして、
「なぜ軍曹?;」と、
大半の方に思われてるだろう。。

カトル受最前線で戦い続けるため
出世しすぎて
外野にはいかないからの
万年軍曹であります!

ちなみに最近急に
自分のことを、
「4受大臣」とも名乗るように。
「4受大臣補佐官」など(笑)
こ、これは進化なのか!?(笑)

我が魂、
カトル受とともにあり★(ビシッ!)
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